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ホンマタカシ 東京と私 TOKYO AND ME (intimate)

TOKYO AND ME, other stories.

今月と来月は特別編。ホンマタカシさん撮り下ろしによる、緊急事態宣言以降の「東京」の風景をお届けします。

写真:ホンマタカシ 編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)

HERE AND NOW

「COVID-19」 が世界的に猛威をふるうなか、緊急事態宣言が発令された「東京」。目には見えない新ウイルスが蔓延する日常は、いつか見たゴダールのSF映画の世界を思わせる。

文:加藤孝司


2020年3月25日。
大方の予測が的中し、大都市東京における週末の外出自粛要請が、1947年の地方自治法の施行により誕生した、初代東京都知事安井誠一郎氏から数えて9人目となる20代東京都知事、小池百合子氏より発せられた。

東京における顕在的、潜在的な COVID-19の感染者数の状況からみて、遅きに失した感はあったものの、出さないよりもましではある。
そして4月8日。都が外出自粛要請を発してからわずか10日ほどで、我が国政府は東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡という、国内7つの都府県に対し、史上初となる「緊急事態宣言」を発出。東京は仮眠状態に突入した。

世界の主な都市がより強硬なロックダウン=都市封鎖の施策に打って出る中、東京のそれは法を根拠とした強制力をもたない。にも関わらず、その自粛要請に対し、一定の人々が従い、銀座、渋谷、新宿、浅草といった普段は多くの人でごった返す都心の街における人の流れは減少した。

「三密」という宗教のドグマを思わせるワードが、新聞、報道番組、ワイドショー、週刊誌の見出しに踊る。

電車やバスという移動手段、イベントやライブ会場は言うに及ばず、街頭、人との会話、打ち合わせ、スーパーマーケットでの買い物まで。僕たちの日常がこんなにも人が密集しないと成立しないことだらけであることに、あらためて気付かされる。
夏に予定されていた「東京2020オリンピック・パラリンピック」は当然のように来年に延期になり、そして顕在化したCOVID-19の感染拡大。テレビやインターネットの中には目を覆いたくなるような光景がリアルに広がっている。

それでも少しずつわかってきていることもある。
世界各国でワクチンと治療薬の研究開発が進み、医療従事者は自らの時間や自由を削り、驚異的な献身さで治療看護にあたっている。
アーティストたちは、自らが出来ることで声を上げている。市井の人々も、連帯することがこの危機的状況を脱する有効な手立てであると気づきはじめている。

いつもより時間のある今、恐れる前に普段より少しだけ多く、自分の身の回りのことを考えてみたい。
たとえば、春の訪れとともに当たり前に見ることが出来た満開の桜。不条理に張られた規制線の外から眺め、これほどまでに愛おしいと思ったことはこれまでなかったのではないだろうか。

“当たり前”の繰り返しと積み重ね、ほんの少しの発想の転換で、日々は前に進んでいく。東京は止まらない。

東京と私

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2020/04/30

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