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若者のすべて なんだか、未来が楽しみになる。今を生きる20代の若者たちと、他愛のないおしゃべりを。

第11回:Emma Terweduwe(テキスタイルデザイナー)

ベルギーを拠点に、テキスタイルデザイナーとして活動するEmma Terweduweさん。
幼少期から身近にアートがある生活を送り、ごく自然なかたちでものづくりの世界へ。
若干24歳ながら、自分自身が理想とする未来をしっかり見据え、
聡明な言葉で語ってくれた。

写真・翻訳:Maya Matsuura 文・編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)

Emma Terweduwe(エマ・テルウェドウェ)

テキスタイルデザイナー。1996年ベルギー生まれ。デンマーク王立芸術アカデミー卒業。デンマークのアパレル会社でのインターンを経て、現在は故郷であるベルギーの企業でデザイナーとして勤務しながらフリーランスのテキスタイルデザイナーとして活動している。
HP:http://www.emmaterweduwe.com
Instagram:@emmaterweduwe


テキスタイルというメディアで、
さまざまな世界と繋がっていきたい

今現在の活動について教えてください。

デンマークのアパレル会社「Henrik Vibksov(ヘンリック ヴィブスコフ)」でのインターンシップを経て、現在は自分のスタジオで織物のコレクションを制作しています。コペンハーゲンから帰ってきてすぐに、ブリュッセルのデザイン見本市「Contemporary Design Market」で作品を発表しました。今は、ベルギーの地元の織物会社とジャカードで織ったブランケットの新しいシリーズをつくっています。数ヶ月後にはじめての本格的なコレクションを発表できることを、とても楽しみにしているんですよ。そのほかにも、新しいプロジェクトのためにアトリエで手織機をつかって作品を織ったり、実験したりしています。

現在24歳。ベルギー出身とのことですが、どんな幼少期を過ごしましたが? 今のお仕事に繋がるエピソードがあれば教えてください。

母がグラフィックアーティストで美術の先生をしていたこともあり、芸術に囲まれた環境で育ちました。母とはよく展覧会に一緒に行っていましたし、家ではいつも絵を描いて遊んでいましたね。

お母さまの影響が大きいのですね。

母は、どんな時も自分の創造性を表現するよう励ましてくれました。アートやファッションへの興味と情熱は年齢を重ねるにつれてどんどん強くなって、15歳の時にはファッションデザインに関わる何かを勉強したいと思うようになりました。

ファッション関連の仕事の中でも、テキスタイルという分野に興味を持ったきっかけは?

祖父がインテリアテキスタイルの専門店を経営していたので、その影響もあったかもしれません。私が10代の頃に家族が中国に住んでいたので、よく中国へ旅行に行きました。その時に田舎で暮らすさまざまな少数民族の元を訪問したのですが、伝統的な衣装や工芸品に惚れ惚れしたのを覚えています。そんな経験もあって、テキスタイルへの情熱と興味が高まっていったんです。

テキスタイルをデザインすることの面白さは、どんなところにありますか。

テキスタイルは、ひとつのメディア。とても多様性があって、ファッションデザインでもインテリアデザインでも、テキスタイルは重要な役割を果たしています。両方の世界でテキスタイルをつくることができて、“テキスタイル”というひとつの媒体で2つの情熱を融合させることができる。そういうところが面白いなと思っています。

テキスタイルはメディア。なんだかハッとしました。

あとは……制作する時に流れるゆっくりとした時間や製作のプロセスこそが、私がテキスタイルに魅了されているところでもあります。正真正銘、本物の工芸(クラフト)だと思うんですよね。特に機織りは、瞑想的な行為でもあります。テンポの速い社会の中で、ゆっくりとした時間を大切にすることを学ぶ必要があると改めて感じさせてくれます。

本格的にテキスタイルを学ぶにあたり、デンマークの「王立芸術アカデミー」への入学を志したきっかけを教えてください。

ベルギーにはテキスタイルデザインを学べる学校があまりないんです。どこで勉強したいか探していた時に、KASK(王立芸術アカデミー)のビジョンが自分に合っているなと感じました。実は最初、アントワープでファッションデザインを学びたいと思っていたのですが、KASKのテキスタイルデザインの入学試験のオープンデーに行ってみて、やっぱりこれが自分のやりたいことだと思いました。

“仕事としてテキスタイルに関わっていく”という意識を持ったのは、いつ頃でしたか?

具体的に「この瞬間に決意した」ということは無くて、私にとってごく自然なステップでした。マスターコレクションをつくっている間に、テキスタイルをつくることが自分にとって何を意味するのか、自分の作品で人々にどんなストーリーを伝えたいのか、ということが明確になったんです。その情熱を、世界とシェアしていきたいと思っています。

現在は、デザイナーとして企業に勤めながら、フリーランスとしても活動するという働き方を選択されています。それぞれの立場における仕事の仕方に違いはありますか?

それぞれに、良いところとそうでないところ、両方の側面がありますね。フリーランスである一番のメリットは自由であること。でもその自由は常に自分次第なので、それが難しくなることもあります。そういう点でいうと、すでに存在する文脈の中で常にチームで働く会社で働くことも、自分にとっては良いことだと思っています。

Emmaさんは数あるテキスタイルの手法の中でも「ジャガード織り」をメインとされているそうですね。視覚より触覚にこだわりたい、からだとか。

私たちの世界では、誰もが視覚的なものに集中し、常にスクリーンを見ています。すべてのもの・ことがあまりにも速く進みすぎてじっとしている時間を忘れてしまうこともありますし、触ったり感じたりする時間を意識することも忘れてしまいがちです。私にとっての触覚は“ゆっくりとした時間”のことでもあります。何かと本当に繋がるために、時間をかけること。触覚を重視することで、より大切にして長く愛用してもらえるようになると思っています。

視覚で触れるだけでは、得られない体験かもしれませんんね。

織られた生地をフェルトにしたり、ウールやリネンなどの異素材を組み合わせることで、テキスタイルは生き生きとしてきます。素材や質感が語りかけてくるようになるというか。私の作品を見て、“触ってみたい”と思ってもらえたら本望ですね。私の作品は毛布やラグ、タペストリーが中心で、気軽に日常生活の中で使ってもらえるものです。大切に使ってもらい、いつまでも心に残るようなテキスタイルをつくりたいと思っています。

最初にEmmaさんの作品を見た時に、色使いがとても独特で素敵だなと思いました。

嬉しい! ありがとうございます。

どんなものからインスピレーションを受けていますか?

色は私がテキスタイルをつくる時にとても重要な要素で、いつも直感を大切に選んでいます。インスピレーションの源は、日常生活の中にあるものですね。街中や自然の中にある面白い色の組み合わせをいつも写真に撮っています。そうそう、日本語の本で沢山の色の組み合わせが載っている辞典のような本を持っているのですが、大好きでよく眺めています。あとはお花かな。街中の花屋で花を買って帰ることが多くて、部屋にはいつも花があります。

ものづくりをする上で一番大切にしていることを教えてください。

試すこと、でしょうか。新しい作品をつくる時はかなり長い時間がかかるのですが、素材や色の組み合わせを色々試しています。最初に思い描いていた通りにいかないこともありますが、最終的には想像もしなかったいいものが出来上がることもある。だから、実験することをとても大切にしています。

では、創作へのモチベーションを支えるものは?

外国を旅して生活することですね。今はなかなか難しいですが。過去3年間でゲント、ベルリン、スイス、コペンハーゲンで暮らしました。新しい人々と出会うこと、住んでいる街の文化の違いを知ることは私のモチベーションを高めてくれますし、同時にインスピレーションも与えてくれます。

今まで当たり前だったことが、そうでは無くなってしまった一年でしたね。

友人と今世界で起こっている様々なことについて話をするのですが、自分が一番好きなことであるテキスタイルを続けられていることがどれだけ幸運であるかというのを痛感しています。

これから先、挑戦してみたいことはありますか。

まだまだやりたいことがたくさんあります! テキスタイルデザイナーとしての旅はまだはじまったばかりですから。テキスタイルの会社と一緒に仕事をするのがとても楽しみですが、他のデザイナーやアーティストともコラボレーションしてみたいですね。経験や知識をシェアしながらものづくりをしていくことは、とても素敵なことだと思います。

10年後、どこで暮らし、どのように生きていたいですか?

10年後には自分のテキスタイルスタジオを立ち上げて、世界中のクリエイターや企業と一緒に仕事をしたいと思っています。何よりも、今と同じようにテキスタイルをつくることを楽しんでいるといいなと思いますね。あとは……どこにでも一緒に付いてきてくれるキュートな犬がそばにいるといいな。

最後に、Emmaさんの座右の銘を教えてください。

To always stay positive and keep looking forward. If you work hard, anything is possible.
常に前向きに前を向くこと。頑張れば、何でも実現できます。


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2020/12/01

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