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短期集中連載
堀井和子さんと一緒につくる、
大人が毎日着たい服
第1回

今年の4月初旬に、堀井和子さんと「CLASKA Gallery & Shop "DO"」が一緒につくる新たなアパレルライン「sept septième(セット・セッティエーム)」がスタートします。
発売に向け、制作の背景や堀井さんが服づくりに込めた思いを短期集中連載でご紹介。
連載第1回、第2回にお届けする対談企画は、ゲストに堀井さんの著作のデザインを多数手がけてきたエディトリアルデザイナー・若山嘉代子さんをお迎えします。
テーマは「“大人のおしゃれ”って?」。
30年以上のお付き合いであるという、まさに“旧知の仲”であるお二人。
文字通り、笑いの絶えない楽しい対談になりました。

写真:山平敦史 文・編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)

連載第1回
「“大人のおしゃれ”について、考えてみた」/前編
堀井和子さん×若山嘉代子さん(L’espace代表)

Profile
堀井和子(ほりい・かずこ)/右
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop “DO”と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。

Profile
若山嘉代子(わかやま・かよこ)/左
1953年東京生まれ。エディトリアルデザイナー。「有限会社レスパース」代表。堀井和子さんをはじめ、原由美子さん、有元葉子さん、平松洋子さん、伊藤まさこさんなど数多くの著作のデザインを手掛ける。書籍、雑誌など出版物のデザインを中心に、カタログ、ショップのパッケージ、広報誌、CDなど制作物まで幅広いジャンルのデザインに関わっている。
http://www.lespace.jp/index.html


おしゃれ遍歴、教えてください

今回の対談では、「大人のおしゃれ」をテーマに、旧知の仲だというお二人に色々とお話をお伺いできればと思っています。よろしくお願いします。

堀井さん・若山さん(※以下、敬省略):
よろしくお願いします。

今回、堀井さんに対談相手の方についてご相談しましたら、ほぼ即答で「若山さん!」とお答えいただきました。

堀井:
おしゃれな人……と考えた時にまず浮かんだのが、若山さんだったんです。
若山:
そうだったんですか?(笑)。光栄です。
堀井:
打ち合わせや仕事の打ち上げなどでお会いする時に、いつも自分なりのおしゃれを楽しんでいらして、とても素敵だなぁと思っていました。本や雑誌のレイアウトをされる時も素晴らしいと思うけれど、洋服の着こなしや、そこにプラスするアクセサリーやバッグなど、おしゃれのレイアウトも「さすが!」って。雑誌とかを見るより、若山さんを見ているほうが勉強になると思っているくらい(笑)。こういう人を“おしゃれ”っていうんだなぁって。

お二人は、とても長いお付き合いになるそうですね。

若山:
1987年に、雑誌のお仕事でご一緒させて頂いたのが最初ですね。それをきっかけに、堀井さんの著作のデザインをたくさん担当させていただきました。多い時は、年に2~3冊出していたこともありましたね。
若山さんが数多く手掛けてきた堀井さんの著作の一部。左から右へ『堀井和子の気ままなパンの本』(1988年)、『テーブルのメニュー ABC』(1991年)、『和のアルファベットスタイル─日本の器と北欧のデザイン』 (2001年)
堀井:
表紙の装丁も中面のレイアウトも、いつもとても素敵に仕上げてくださって。私、前と同じことをしたくないからって、色々と若山さんに無理難題を言いましたよね(笑)。
若山:
どの本も、とても楽しくやらせていただきました。奥付(巻末のスタッフクレジット)まで、堀井さんに手書きで書いていただいたりね! 懐かしい。
昨年CLASKA Gallery & Shop “DO” 本店で開催した「一丁目ほりい事務所」の展覧会「GENERAL STORE」で。若山さんはグッズの一部のレイアウトデザインを担当した

もう35年近いお付き合いということですね。しかも、お二人は学年も一緒ということで、洋服に限らずさまざまなカルチャーを同時代に体感されてきたことと思います。若山さんは、これまでどのようなおしゃれを楽しんでこられたのでしょうか?

若山:
若い頃は、あまり「似合う・似合わない」を気にせずに、好きなものを無理やり着たこともありましたね。ベーシックなものからモード色が強いものまで、本当にいろいろと。「自分が好き」ということが重要で、周りにどう見られるかはあまり気にしていない時代もありました。母が買い物好きな人だったんですけど、「どうかな、似合うかな?」と私が迷っていると、「“月謝”を払わないで、おしゃれになんてなれないわよ! 買いなさい」って。
堀井:
素敵なお母さん(笑)。
若山:
そうやって背中を押されて買うんですけど、やっぱり似合わないものもあるわけです。でも母は「失敗しないとおしゃれにはならないよ」って。その時は変な人だなぁと思っていたけど、いろいろな服にチャレンジさせてくれたので、今となっては感謝していますね。失敗は数限りなくありますけど、自分が好きなものとか、「これは私に似合う」と思えるものが段々とわかってきましたから。

堀井さんはいかがですか? 今回のアパレル企画の初回ミーティングで、「おしゃれは……そんなに得意じゃないんです」と小さな声でおっしゃっていたことが印象的でしたが(笑)。若山さんのように冒険をされた時期もあったのでしょうか。

堀井:
ファッションが嫌いなわけじゃないし、ファッション写真とかを見るのは好きなんですけどね。若山さんのお母さまがおっしゃったように、ファッションって投資しないと自分のものにならない、という側面があると思うんです。そういう意味では、私は食器や雑貨にはものすごーく投資をしちゃったんですけど(笑)。ファッションのほうには、それほど……。
若山:
堀井さんの着こなしは、はじめてお会いした頃から一貫していますよね。シンプルで、ユニセックスな印象のもの。パンツスタイルの印象が強いんですけど、打ち上げでご飯を食べに行く時とかは、スカートやワンピースを取り入れた新鮮な着こなしをされていましたね。その様子もまた、堀井さんらしくて素敵で。
堀井:
ユニセックスなものはずっと好きですね。あと、流行がちょっと苦手だというのも変わっていないかな。その年によっては、「あ、今年は好きな感じだな」とか思うこともあるんですけどね。どちらかというと高いブランドものはほとんどスルーしてきて、トレンド要素がある服はセールの時に買って冒険してみる、という感じです。今回、改めて自分のクローゼットを見回してみたんですけど、女性にしては持っている服の数が少ないかなと思いました。ニットとかスカートとか、20年近く着ているものもいくつかあって(笑)。

20年! 長い付き合いになる服の共通点って何かありますか?

堀井:
手元に残る服って、自分自身が「好き」ということはもちろんですが、仕立てが良いとか生地に張りがあるとか、「ものとしての質の良さ」もポイントな気がしますね。どんなに好きでも、洗濯を繰り返すうちにだらしない感じになってきてしまったものは潔く手放すようにしています。

ここ10年くらいで「ファストファッション」と呼ばれるものが、幅広い世代にすっかり定着した感があります。でも、それなりに値段がするものの良さというか、仕立てのいいものの良さって、ありますよね。

若山:
決して安い服が悪いというわけではないのですが……なんていうのかな、買う時に“心意気”がないと思うんですよ。洋服に限らずなんですけど、「すごく好きだな、でも高いなぁ。どうしようかな」と悩んで、「えい!」という“気持ち”で買ったものって、1シーズンで捨てることはできないですよね。

わかります。ちょっと奮発して、ハイクラスのクリーニングに出したりして。

若山:
服に限らず、「想い」が大切な時代になりつつあるんじゃないでしょうか。個人的には、いいものを買うために頑張って働いている気すらします(笑)。少し高価だけれど大切に長く着るものと、安いけど1シーズンでヘタってしまったり処分してしまうもの、結局どっちが安いのかなぁと思います。
堀井:
そうそう。“たまには冒険しよう”思ってセールで買ったいいブランドのものって、やっぱり仕立てがいいから、気が付くと10年以上着ていたりすることもあるんですよね。

似合うようになったもの、似合わなくなったもの

さきほど若山さんが「だんだんと自分に似合うものがわかってきた」とおっしゃっていましたが、“年齢を重ねていく”ということに起因する変化もありましたか?

若山:
そうですね。なんか……似合うものが少なくなってきた気がする(笑)。
堀井:
そんなそんな(笑)。
若山:
もともと黒の細いパンツが大好きで、それが流行から外れてしまっている時期も自分の制服のようにずっと履いていたんです。でもある時から、“なんか、似合わなくなってるかも!”と、気持ちがそわそわするようになって。段々と太めのデザインのパンツを買う頻度が増えてきました。今は、細いのと太いのがちょうど半々くらいかな。あと、トップスもボトムスも黒を買うことがほとんどでしたけど、顔写りが気になるようになって、紺やグレーを選ぶことが多くなりました。
堀井:
私も同じ。黒い服を好んで着ていたけれど、最近は紺や生成、色合いにもよるけどグレーが多いですね。

お二人とも今日はパンツスタイルですね。やはりパンツが多いですか?

若山:
ほとんどそうですね。スカートだったら、最近タイトスカートが好きです。昔はフレアースカートを履くこともありましたけど、今は膝の少し下くらいの丈のタイトスカートを愛用してます。足元がスニーカーでもゴツめの革靴でも、バランスがとりやすいんですよ。最近は、トップスはコンパクトにしてボトムスは少し太めのパンツかタイトスカート、という組み合わせが多いです。

タイトスカートですか。ちょっと意外です。

堀井:
実は私も、タイトスカートを愛用しています(笑)。
若山:
え、堀井さんも?
堀井:
そうなんです。実は20代半ばから。今日、「特にお気に入りの服を持ってきてください」というリクエストを頂いたのでいくつか持ってきたんですけど、タイトスカートもその中に含まれていて。
30代の頃、代官山にあった「MOGA」のブティックで購入したもの
堀井:
買った当時は値段的に少し背伸びをして購入したんですけど、今も着れているから十分元は取れたかな。カジュアルだけどきちんと見えて、理想的なスカートなんです。私、脚が筋肉質で太めなのがコンプレックスでスカートは似合わないなぁと思っていたんですけど、タイトスカートを履いた時に、太腿とふくらはぎがある程度しっかりしている方が綺麗に着こなせることが分かって。「自分の体形を生かせる服に出会えた!」と嬉しくなりました。この他にも、ストレッチがきいたデニム生地のものやシンプルなグレー地のものなど、いくつか持っています。

自分自身の体形を知ることは、おしゃれへの近道でもありますよね。

堀井:
年齢を重ねてくると、自分の身体の長所と短所がよくわかってくるじゃないですか。「ここは隠したいけど、ここは見せたほうがいいな」とか。私でいうと、二の腕は見せてもOK。でも胴回りやヒップは、極力ラインを拾わない生地やシルエットのものを選ぶようにしています。
若山:
堀井さん、メンズサイズの服を素敵に着こなしているのが印象的です。
堀井:
身長はそんなに高くないんですけど、いかり肩で肩幅があるので、メンズのシャツやTシャツもXSやSサイズだと着られるんです。デニムにメンズのシャツを合わせたりしますね。ここ数年、オーバーサイズの服が流行しているからちょうどいいかも! って(笑)。自分がコンプレックスに思っている部分も、そこを生かす服に出会えたら長所に変えることもできるんですよね。
最近購入したというメンズのシャツ。大きなポケットがアクセントに

後編へ続く

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2020/03/11

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