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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第24回:モッコウバラ/焙煎したてのコーヒー/ポストカード用フレーム/白柿の茶筒

文・写真:堀井和子

モッコウバラ

 昨年の4月中旬、散歩の途中で、フェンスにからまって花を咲かせているモッコウバラを見つけました。咲き始めの頃の、白い花と緑の葉や蔓の様子が私は好きです。

 実家の庭でも淡い黄色のモッコウバラが蔓を伸ばしていて、満開になると葉が見えないくらい賑やかに。同じ頃、白山吹やムベ、ワイルドストロベリー、テリハノイバラも咲くので淡い黄色のモッコウバラといっしょに生けると、春の庭の色合いに部屋の空気が優しくなります。

 アイボリーの塗り壁に、窓の黒いフェンスが背景になっていて、外国の街で見た蔓バラを思い出しました。

UTANO COFFEE ROASTERY のパプアニューギニア・コルブランコーヒーAX

 大津市の UTANO COFFEE ROASTERY のパプアニューギニア・コルブランコーヒーAX。友人が送ってくれた封筒の包みを開けたら、コーヒー豆のものすごく香ばしい香りがふわっとたちました。(写真のパッケージはレギュラーコーヒー 10gのもの)

 20代後半は朝、深煎りのコーヒーを飲んでいたのですが、今は浅煎りで爽やかな酸味・澄んだ後口のコーヒーに魅かれます。と言っても週に2、3回午後に飲むくらいなので、焙煎したよい香りのうちに飲みきれなかったりして、なかなかコーヒー豆を買わなくなっていました。

 UTANO COFFEE ROASTERY は、生豆を選んでその場で焙煎してくれるそうで、少量を買えるのも素敵だなぁと思いました。

 コーヒー豆の種類、焙煎の具合、豆の挽きかたなど詳しく知らないのですが、このふわっとたった香りは、大好きなタイプのコーヒーのものだとわかる気がしました。届いた翌日にコーヒーをいれましたが、香りだけでなく、ちょうどよいコクと味わいでとてもおいしかったです。

 焙煎したてのコーヒー豆が郵便で届いて、我家のテーブルが新鮮なコーヒーの香りに包まれる —— 小さなパッケージだけれど、衝撃的な威力を持っていました。

ポストカードの収納とフレームを兼ねた木製BOX「FILE & FRAME POST CARD」

 ポストカードの収納とフレームを兼ねた木製BOX "FILE & FRAME POST CARD"(SURUGAISHO)。

ポストカードの収納とフレームを兼ねた木製BOX「FILE & FRAME POST CARD」

 デスクや本棚に置いた時、こんなふうに厚みがあると安定感があって、長い年月使ううちにオブジェのような存在感も出てきます。

 無塗装で20年以上経年変化したことで、何とも言えない自然で温かな色になりました。Calder のポストカードも、地の色が今はベージュ色に。ずっと見飽きることがなくて、年月を重ねて少しずつ、いっそう美しくなっていく何気ないデザインのもの、今、とても大事に思っています。

白柿の茶筒

 長野県の木地師の里を訪ねたことがあります。
 漆を塗る前の白木のお椀やお盆がたくさん並んでいて、少し奥の棚には1点もののコーナーがあり、そこでこの茶筒の木目の美しさに心を奪われてしまったのを覚えています。

 この白柿の茶筒は直径7.8cm 高さ12cm。
 30年近くたって、初々しい白っぽい色だったのが、深みのある木の色に落ち着いて、木目は場所によって様々な表情を見せています。

 こんなにシンプルなフォルムで、素材の白柿の魅力を最大限に生かした茶筒を職人さんが作ったことに、胸が熱くなります。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2021/03/23

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