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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第23回:20世紀のポスター展/ホテルの朝食/tilleul(菩提樹)/マルシェの簡易テーブル

文・写真:堀井和子

 目黒の東京都庭園美術館で開かれている“20世紀のポスター展”を見てきました。
 前回、同じ竹尾のコレクションで、エミール・ルーダーの "die gute Form" を見ることができたので、その他のポスターも見たくなったのです。

 エミール・ルーダーというデザイナーを知ったのは、ずっと昔、中目黒のハイクでスイスグラフィックのポスター展を見た時。かなり大きな版形のポスターが並んでいて、たいそう心が踊ったことを思い出しました。その後、書店のグラフィックデザインのコーナーに足を止めては、心にひっかかるページ、くり返し見たいページがあると本を買って帰りました。その中に、アイデアの333号“エミール・ルーダーのタイポグラフィ、フィロソフィ”やヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの "Pioneer of Swiss Graphic Design" の本もあって、我家の本棚でも大事な本の棚に並んでいます。

 今回の展では、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの“春のコンサートの告知”(1953年)第1回~4回の4枚に一番きつけられました。グレイッシュな浅いコーヒーベージュの紙に墨1色でシルクスクリーン印刷されているので、モチーフが温度を持っていて、やわらかく感じられます。ブロックマンの本のページ(写真中央)は小さい面積ですし、オフホワイトと黒のコントラストがきりっと目に映ったので、その印象の違いにハッとしてしまいました。大きなサイズのポスターを目の前で見ることができるのは素敵ですね。紙質や当時の印刷による色のニュアンスを、しっかり受けとめられます。

 ロベルト・ビューヒラーのタイポグラフィのポスターも、アルファベットの大文字と小文字の配列がとても楽し気でした。昨年お伺いした måne の井上さんの家の廊下に貼ってあったのは、このポスターに違いないと思います。ロベルト・ビューヒラーというデザイナー名は、今回知りました。

 展覧会に足を運び、以前見つめたことがあるデザインに出合って、脳内のシナプスがピカッと光るみたいな瞬間が私は大好きです。系統的に学んでいないけれど、見つめて時間をかけて知っていくのは面白く、自分に合っている気がしています。

 南仏の庭が美しいホテルの朝食。
 プロヴァンスのテキスタイルの黄色と食器の白、絞りたてのオレンジジュースやクロワッサンの色の組み合わせが戸外のテーブルにぴったりで、心地よい旅の記憶になっています。

 テーブルクロスは使いこんで洗いざらしたから、こんな魅力的な色に見えるのでしょうか。当時もテキスタイルのお店で探しましたが、ヴィヴィッドな発色で柄とのコントラストが強く感じられ、選べませんでした。

 南仏の Vence のマルシェでハーブティーを売っていました。
 種類によってハーブティーを入れる容器が違っていますが、どれもお洒落なセッティング。tilleul(菩提樹)が入った円筒形の編み組みの BOX は、ペイントした椅子に置いてあるのですが、この色を説明しようとフランスの伝統色の DIC で調べたら何と F265 Tilleul でした。

 フランスの地方でマルシェに立ち寄ると、限られたスペースに粋な色、美しい形の道具を上手に組み合わせ、自分のセンスでコーディネイトして楽しんでいる様子にワクワクします。

 サラダ菜を並べた簡易テーブルも、細い板を繋いだ天板に黒っぽいメタルの脚のデザインがカッコいい。こんなガーデンテーブル、今欲しいです!


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2021/03/09

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