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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第20回:ピンク色の紙バッグ/FAUCHON の缶/PANTONE papers/小さい器

文・写真:堀井和子

 2020年12月、井上庸子さんの PAPER BAG 展の初日、神宮前のギャラリーに入って一番最初に目にとまったのが、写真右の紙バッグ。

 ショーケースの上に、PANTONE paper の様々なピンク色の紙バッグが並んでいました。ずっと見つめていると、微妙に色合いが違っているピンクの中で迷子になって、自分は本当は、どのピンクが好きなのか、わからなくなるようで不思議でした。

 例えば PANTONE paper の見本で選ぶと、224U、218U、青みを帯びた色なら 238U、245U、淡い色なら 510U、517U など、ピンクでは気になっています。ところが、見本の極く小さい面積ではニュアンスがつかめないようで、実際に紙バッグのフォルムとサイズで見ると、選びたいピンクが違っているのが面白いです。

 選びたいピンクと書きましたが、身にまとう服やマフラー、テーブルクロス、ケーキ皿にプリントする文字、包装紙やフードパッケージなど、用途によっても変わります。好きな色と似合う色、寛ぐ色、おいしそうに感じる色、ハッとする色は一致しなかったりして、それぞれの条件に合わせて、ピンクのトーンを探っていく感じでしょうか。ものを製作する場合、悩んで何とか1色に決め、指定色で色校を出してもらいます。本当はいつも、気になるトーンの色全部のサンプルを見たいと思うのです。

 こんなふうに様々なトーンのピンク色を、紙バッグのフォルムとサイズで見ることができるなんてすごいなぁ・・・と。

 そういえば、2007年の旅行の時、パリの空港で色に魅かれて買った細長い缶も濃いピンク色でした。井上さんのバッグはマットな紙製で、PANTONE paper の経年変化も少しあるかもしれませんが、FAUCHON の缶、かなり近いピンク色です。

 展覧会では、一番最初に目が捕えたものを選ぶと間違いがないというのが私のルールです。値段を確認したり、他と比べたり、我家に必要かどうか考えたり、頭で選び始めるとだめで、素直に、理屈ではなく、なぜかこれ!と感じたら、そのひとつとは相性がよくてずっと手離さないみたいです。

 展覧会の後、引っ越し作業中の井上さんの事務所を訪ねた折、PANTONE paper(光沢タイプ)を譲り受けました。マットなタイプしか使ったことがなかったのですが、見た途端ワクワクがピークに。魅力的な色がたくさんあって、上に何かのせて撮影したくてたまらなくなったのです。

 早速、グレーの PANTONE paper の上で撮ったのが、ノルウェーの PORSGRUND の正方形の器(7.3cm×7.3cm)。グラフィックな線画を上品な金色でプリントしてあります。深さがあるフォルムで、底面いっぱいのレイアウトが印象的です。

 先日、目黒での最終日、CLASKA Gallery & Shop "DO" 本店に伺った時、壁や天井、床に目が引き寄せられました。
 企画展で壁に紙箱やポスターをレイアウトしていただいたり、天井からドーナツ形のガラスのオブジェを吊っていただいたり —— いろいろなシーンの記憶がひとつひとつ温かくて懐かしくて。
 素敵な空間でした。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2021/01/19

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