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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第19回:お椀の教科書/漆塗りのお椀/藤原盆に最中

文・写真:堀井和子

 懐石傳書「椀盛」 辻嘉一(婦人画報社)
 表紙が 18.5cm×26cm の大きい版で、1969年発行の7版を古書店で買いました。辻さんの料理、佐伯義勝さんの写真、熊谷守一さんの題字・装画はもちろん、撮影されたお椀の格調のある美しさに溜息をつき、ページを繰るうちに美術館で時を過ごしたような気持ちになります。

 見開きは朱漆塗椀、瓜漆絵椀の写真と、お椀についての説明。
 この本に紹介されているような漆のお椀を今、見ることができるのは日本民藝館かもしれません。日本でこんなお椀の文化があったことを誇らしく思うのと同時に、漆が取れなくなったり、木地師が少なくなったり、後継者がいなかったりで、作り続けられていないことが残念です。

 2003年の暮れに盛岡の光原社で買い求めた漆塗りのお椀。
 お椀に描かれているのは柏の葉で、堀井家の家紋が丸につる柏ということもあって、初めて無地ではないタイプを選びました。縁には静かな金線が入っていて、おっとり丸いフォルム。蓋付きなので、お正月のお雑煮用に使っています。

 朱と黒の塗り分けのお椀は、もう少し前に、やはり光原社で。シンプルでモダンなデザインですが、北東北の漆の朱色・黒は、控えめながら凛とした佇まい。何年か光原社に足を運び、手仕事のものについてお話を伺ううちに漆のお椀が2客ずつ増えたこと、懐かしく思い出しました。

 福の文字と蝙蝠こうもりの型押しのデザインが粋な、福砂屋の手作りもなかは、皮の香ばしさ、軽快さが格別で、小豆餡もちょうどよい甘さ、やわらかさ。買い置いてあると幸せな一品です。餡と一緒に、ハーゲンダッツのバニラアイスクリームを挟む食べかたにもはまっています。

 藤原盆と昔買ったコノシャンテの文字柄の皿、何をのせても特別においしく楽しく感じられるなぁと、ついつい、この組み合わせでテーブルへ。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2021/01/06

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