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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第18回:装丁に惹かれた古い本/柚木沙弥郎さんのテーブルクロス/ウェグナーの椅子

文・写真:堀井和子

 装丁に惹かれて買った古い本を出してきて見入っていると、自分の中で化学変化が起き始める気がします。

 左は 『モンパルナス動物誌』 江原順 ノーベル書房 1969年
 表紙カバーの文字は、日本語が黒、フランス語が朱赤で印刷されています。フランス語は、雨あがり、水たまりに足を踏みこみかけた子供の“ママン、ごらん 虹が死んでる!”という言葉。
 長方形のスペースに、佐野繁次郎さんの手描きの字が踊っていて、その楽し気な勢いに、いつも胸を打たれます。

 中央は 『学校は出なくても』 扇谷正造編 有紀書房 1957年
 澄敬一さんが『push me pull you』のお店をクローズすることになった時、奥の書棚に並んでいたこの一冊を譲り受けました。
 表紙カバーの黒地に、文字とイラストの線を白ヌキで印刷してあります。この光沢のある何とも言えない黒に白ヌキのデザインが、私は大好きです。
 人間のデッサンに躍動感があって、話し声や作業の音までが、ふと伝わってくるような装丁に思えました。

 右は “George Rickey / Kinetic Sculptures” Institute Contemporary Art, Boston 1964年
 生成色の紙にマットな黒の印刷。経年変化でチャコールグレイっぽさを含んだ黒に見えます。作品も、それぞれにつけられたタイトルもすごくカッコいい。

上は 『学校は出なくても』 の見返しのデザイン
下左は 『モンパルナス動物誌』 の表紙
下右は “Kinetic Sculptures” の中の見開き
 左上 PORTRAIT OF A LADY
 左下 HIERARCHY
 右  NUAGES

 柚木沙弥郎さんの型染のテーブルクロス。ベージュに近い生成色で縦横の糸が見えるような粗い織り生地に、墨色で染めてあります。植物の葉に露が光っているような、生命力に溢れた明るさを感じる柄です。やや地に厚みがあって粗い生地に型染することで、こんなふうに大胆でドラマティックなテキスタイルになるんですね。

 長方形の透明アクリルトレーに星耕硝子さんのガラス皿、北欧の ROSTFRITT STÅL のフォーク、昔の DANSK のカップ。12月もあと少し、コーヒーブレークに柚木さんのデザインを鑑賞しながら・・・・・・。

 柚木さんのテーブルクロスを掛けた時は、ウェグナーの黒い革張りの椅子が合います。このヴィンテージの椅子、背もたれのカーヴや木目などのディテールが素直で美しい。

 2脚だけ買ってからだいぶ年を重ねましたが、ずっと大切にしています。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2020/12/22

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