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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第16回:木の椅子/ジャム/富山の水だんご、千代くるみ

文・写真:堀井和子

 2012年の11月、パリのポンピドゥーセンターで展示されていたこの椅子は、イタリアの建築家 Vittorio Gregotti の作品。
 薄く細長い樺の木片を放射状に配し、外周も木片を重ねて繋ぐ構造が面白くて、しばらく見入ってしまいました。経年変化でアメ色になった木や、銀色のままだったり墨色っぽくなったりのリベットが美しいなぁと。

 この展示スペースには、シャルロット・ぺリアンの収納家具や、陽気な赤のタイプライター、シンプルなカトラリーなど、ミッドセンチュリーのモダンなデザインが並んでいました。旅行中に、こんな展示を見ることができて幸運でした。

 座りたいとは、あまり思わないけれど、この椅子、ずっと家で見ていたくなるくらい好きなタイプかもしれません。

 銀座のまるごと高知で、岡林農園のぶんたんジャムを買いました。
 マーマレードではなくジャムと書かれたラベルに好奇心を刺激されたのです。

 ずっと昔、南フランスのオレンジの果樹園のホテルで朝食に出されたのが、オレンジの皮も果肉もいっしょにクラッシュして煮詰めた自家製ジャムでした。このぶんたんジャムも、文旦のほろ苦さと香りがシックで、瑞々しい口あたりと優雅な味が魅力的。
 我家では、プレーンヨーグルトにバニラアイスクリームを少し混ぜて器に盛り、各自、ぶんたんジャムを好きな分量のせて食べるデザートが気に入っています。

 明治屋の日本のめぐみシリーズ、あまおういちごのジャム。
 このあまおういちごのジャムは、いちごの甘さと香りに風格があって、皮をしっかりめに焼いたハード系のパンにとてもよく会います。甘さに奥深さを感じて新鮮でした。

 久しぶりに足を延ばした日本橋、とやま館でお茶の時のお菓子を選びました。
 黒部名水 水だんごは、富山県黒部市生地地域の家庭で作られていたおやつ。米粉、片栗粉、水とシンプルな材料で作っただんごを、流水で打ち粉を洗い流してから青大豆きなこをかけて食べます。

 だんごというとお餅のような食感を想像しますが、こちらの水だんごは片栗粉が入っているからか、ふんわり不思議な軽さ。青大豆きなこの自然な色合いと香ばしさ、塩をきかせた甘さが懐かしくて、ひと包みがあっという間になくなってしまいました。

 千代くるみは鬼くるみを砂糖の衣で包んだお菓子。
 鬼くるみならではのコクや香りが、外側の砂糖の衣を崩した時に弾けるようで、ちゃんと富山の樹の個性を伝えてきます。くるみと砂糖を使った干菓子は日本各地で作られていますが、ひとつひとつ、その土地の味わいに胸を張っていると思うのです。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2020/11/24

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