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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第13回:ススキ/食べるいりこ/青いテキスタイル/ウィンドーディスプレイ

文・写真:堀井和子

 散歩の途中で見つけました。
 ススキの穂が出たばかりの頃、太陽の光を浴びると、秋の乾いた緑の中、金色に輝くように感じます。私は、穂先の初々しいススキを見るのが好きなので、都会で建物の銀色の壁を背景にした様子に心が踊りました。

 酒井抱一の夏秋草図の万国博覧会記念切手(1970年6月発行)はマットな銀色の上のススキがとても印象的な切手です。銀色の背景のススキのデザインを、ふと思い出しました。

 香川に住む友人が、新物が出たタイミングで送ってくれた渡海屋さんの“食べるいりこ”。
 昨年初めて味わって、こんなに爽やかで香り高いいりこがあることに驚きました。オリーブオイルを軽くからめて電子レンジで加熱するとパリパリに。その香ばしくて新鮮な味が忘れられず、いただいたいりこがなくなった後、東京のお店で瀬戸内海産や伊吹島産のいりこを見かけて買ってみたのですが、驚いたあの時とは違う風味。それまで持っていたいりこ(関東では煮干し)のイメージのままでした。

 仁尾の渡海屋さんの“食べるいりこ”は、厳選したいりこを、漁獲されてすぐに工場で釜茹でして乾燥、さらに手作業で丁寧に選別するそうです。いりこを大事に想う作り手の気持ちが、この格別な風味を、食べる人に伝えているんですね。

 住んでいる地元のおいしいものを、一番おいしいタイミングで送ってもらって、知ることができました。友人の手紙に書いてあったように、新物を冷凍庫で保存して、いりこ料理に挑戦しているところです。

 いりこを大きいまま使った料理をして、取り出した後に、いりこの外側が鍋に少し張り付いていたのですが、その薄い膜のような銀色が光って美しかったことといったら・・・・・・。

 パリのホテルに掲げられていた青いテキスタイル。
 記憶にしっかり刻まれる、澄んで強い青だと思いました。

 部屋はとても狭かったけれど、内装に使われている色の感覚が粋で、朝食をとる地下のスペースも落ち着いた雰囲気が素敵でした。

 昨年、青山3丁目交差点の DEAN & DELUCA で、ハロウィーンのウィンドーディスプレイに目がとまりました。シンプルな白だけのディスプレイだけれど、ガラス面に映り込んだビルが背景になって、ドラマティックに感じられました。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」

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2020/10/14

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