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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第11回:飛行機/コニャックの瓶/クルミのリキュールの瓶/銀色のボーダーの瓶

文・写真:堀井和子

飛行機

 晴れた日の昼近く、9月らしい雲の間に見つけた飛行機。

 2, 3歳の頃の、上を向いて空を指さしている写真があります。飛行機の音に反応して、一生懸命探してしまうのはその頃からかもしれません。
 旅客機の爆音とサイズは嫌いで、ヘリコプターにはワクワクしないです。ニュースを聞いてめげそうになった時、散歩に出て、音に気づいて銀色の小さい飛行機を見つけるとワッと嬉しくなる —— 気分をふと変えられるのがいいなぁと思っています。

コニャックの瓶

 CAVES FAUCHON のコニャックが入っていた瓶です。
 アンバーのガラスの色、泡が入ってトロッと厚みがある造りの瓶は、持つとずっしり重みを感じます。パッケージというよりガラス作品のような存在感があるのです。
 ラベルに記されているグランド・シャンパーニュは、コニャックのブランデー用葡萄の取れる最良の産地と言われています(シャンパーニュ地方ではなくて)。CAVES FAUCHON で特別に保管されていたコニャックのための瓶ということで、こんな美しい瓶を準備したんですね。見つめるたびに溜息をついてしまいます。

クルミのリキュール瓶

 フランス南西部、ペリゴールの街のお酒専門店で見つけたクルミのリキュール瓶。コニャックよりやや赤みがかった、深い色のリキュールが入っていました。
 自然なふくらみを持った胴の下半分に入れた縦長のカットと、墨色の帯状のラベルがきいています。雰囲気のあるベージュ色の紙に、手描き文字部分を抜いた黒の印刷をしてあって、見た瞬間に虜になったデザインです。

 ゆっくり時間をかけて楽しむコニャックやアルマニャック、オー・ド・ヴィなどの瓶は、家で見つめる時間も長い。フランスの作り手が、中のお酒だけでなくパッケージの瓶に、粋狂なくらい向き合って作っていた時代をふと懐かしく思うのが、ちょっと悲しいです。

ガラス瓶

 フランス物産展で購入したガラス瓶で、銀色のメタリックなボーダーのデザインが印象的。秋の山野草(吾亦紅ワレモコウやキンミズヒキ)を生けるなど、花瓶として使うことが多いです。

 実は今年1月中旬、銀座松屋の地下ショーウィンドウの革製品展示に、同じ製法と思われるガラス器がたくさん使われているのを見て、びっくりしました。銀色のメタリックな材質をボーダーやストライプ、ドットのデザインに使ったガラス製品は、今も作り続けられているアイテムなのか、個人のコレクションなのかわかりませんが、とても興味深い構成でした。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2020/09/15

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