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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第5回:6月の桜の木/ホテルの窓から/絵本、詩集

文・写真:堀井和子

 2010年の6月末、小石川植物園で撮った写真です。

梅の花は長く咲いているので見に行きますが、桜の見頃は混むので、少し後の八重桜を見ることが多いでしょうか。そして梅雨の頃、人影が見えない、ひっそりした園内で、桜の老木の幹や枝ぶりを緑の中にしっかり感じました。

 今年は遠くへ出かけない日々が続きましたが、樹木の季節ごとに変化する様子を見つめると、勇気が湧いてくるように思います。

 数年前に旅行した、フランスのミディ・ピレネーのホテルの庭。

 広い敷地に、クルミやイチジクなどの果樹が植えられ、野原がそのまま小高い丘や森へと続いています。一段高い手前の庭部分は、石を積み重ねた低い縁で囲ってあって、粋な印象です。

 ずっと見ていて見飽きない、初夏の景色でした。

 左は「一わだけ はんたいに あるいたら……」。1998年に偕成社から出版された絵本です。
 作者のグンナル・べーレフェルトは、スウェーデン生まれで、美学・美術史を専攻。論文の執筆の途中、散歩に出かけ、湖の、鳥だけが住んでいる小島を見ていて着想したのがこの絵本だそう。

 1981年にデンマークで出版された本も持っています。
 見開きのページには「さぁ とぼう! おい風だって むかい風だって へいきだぞ!」という文が。

 白い紙に濃いグレー1色、かすれるような筆致、のびやかな構図で表現されています。表紙カバーのレイアウトも、とても斬新です。反対方向に歩いている鳥が上を向いて、タイトルの終わりの文字だけが見え、おやっと感じる仕立なのです。

 右は「C’est corbeau」。Jean-Pascal Dubost のテキストに Katy Couprie の絵の、大人のための詩の本。
 絵本や料理書と違って、詩をフランス語で読むのはハードルが高いと知りつつ、東京の洋書店で購入したのは、黒のデッサンとブルーの活字のデザインにすごくハッとしたから。ほんの少しオレンジがかった生成り色の紙の質感も雰囲気があります。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」

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2020/06/09

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